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製品特性

ボトックスの調製・失活 調製

編集協力:徳島大学大学院 医歯薬学研究部
                    医科学部門 内科系
                    臨床神経科学分野 教授 梶 龍兒 先生

ボトックスの有効成分であるA型ボツリヌス毒素は神経毒素であるため、本剤の取り扱いにあたっては十分な注意が必要です。

本剤は使用後、失活・廃棄が安全かつ確実に行われるように、廃棄については薬剤部に依頼するなど所要の措置を講じ、廃棄に関する記録は保管するよう義務づけられています。

調製

1.準備

2.調製方法

(1) 本剤は調製まで5℃以下の冷所で保存します。

(2) バイアルの蓋をはずし、ゴム栓をアルコール綿で清拭したあと、十分に乾燥させます。
            ※バイアル中にアルコールが混入すると、ボツリヌス毒素の効力が低下する可能性があります。

(3) 調製用のシリンジに調製用の針を取り付けます。シリンジに必要量の生理食塩液を吸引し、ボトックスのバイアルに刺入すると、バイアルの中が真空のため、プランジャーが自然に引っ張られ、生理食塩液が注入されます。
注意)バイアルの陰圧が保たれていない場合は使用しないでください。
溶解後のボツリヌス毒素濃度に必要な生理食塩液の量は下記のとおりです。

(4) 生理食塩液を全て注入したら、針はバイアルに残したまま、シリンジだけをはずし、バイアルを静かに回転させ、ボトックスを生理食塩液に溶解します。なお変性する可能性がありますので、泡立ちや激しい撹拌を避けてください。
※溶解後の液は、無色~微黄色澄明で浮遊物はみとめません。

(5) 注射用のシリンジに空気を適量吸引します。空気をバイアルに注入した後、溶解した薬液をシリンジに吸引します。必要量の薬液をシリンジに吸引し、調製用の針をバイアルに残したまま、シリンジを抜いて注射用の針に付け替え、治療の準備を完了します。
※保存剤を含んでいないので、調製後は速やかに使用し、冷凍しないでください。

ボトックス® の調製と失活方法 (動画)

ボトックス® の調製と失活方法(動画) 

ボトックスの調製・失活 失活・廃棄

編集協力:徳島大学大学院 医歯薬学研究部
                    医科学部門 内科系
                    臨床神経科学分野 教授 梶 龍兒 先生

ボトックスの有効成分であるA型ボツリヌス毒素は神経毒素であるため、本剤の取り扱いにあたっては十分な注意が必要です。

本剤は使用後、失活・廃棄が安全かつ確実に行われるように、廃棄については薬剤部に依頼するなど所要の措置を講じ、廃棄に関する記録は保管するよう義務づけられています。

失活・廃棄

残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させ、密閉可能な廃棄袋または箱に廃棄してください。薬液に触れた器具等も同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて失活させた後、密閉可能な廃棄袋または箱に廃棄してください。なお、失活時間は5分以上です。次亜塩素酸ナトリウム溶液として、市販のハイター(約5%)、ミルトン(約1%)が代用できます。失活後は通常の医療廃棄物と同様に廃棄してください。

※本剤は使用後、失活・廃棄が安全かつ確実に行われるように、廃棄については薬剤部に依頼するなど所要の措置を講じ、廃棄に関する記録は保管するよう義務づけられています。

汚染時の対処方法

(1)本剤が飛散した場合はすべて拭き取ってください。

  • 溶解前の場合は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませた吸収性素材で拭き、乾かしてください。
  • 溶解後の場合は、吸収性素材で拭き取ったあとに、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で拭き、乾かしてください。

(2)本剤が皮膚に付着した場合には、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で5分洗い、水で洗い流してください。

(3)本剤が眼に入った場合は、ただちに水で洗い流してください。

ボトックス® の調製と失活方法 (動画)

ボトックス® の調製と失活方法(動画) 

ご使用までの流れ

ボトックスの使用に際しては、承認条件に基づき、適正かつ安全な使用を目的として、症例の事前登録制による全例使用成績調査、ならびに使用医師の限定(A型ボツリヌス毒素製剤ボトックス講習・実技セミナー受講医師のみ)が実施されています。

使用成績調査の対象である適応症へのボトックス使用時には、使用症例の全例を登録制として調査を行うとともに、すべての重篤な有害事象を把握する適切な措置を講じることが義務づけられています。また、使用成績調査の対象とはならない場合でも、使用医師が講習・実技セミナー修了者であることを確認させていただく必要がありますので、全例事前登録にご協力いただきますようお願いいたします。

治療までの流れ

講習・実技セミナーに参加していただいた後、医師にボトックスの安全性、有効性、適正使用に関する情報伝達と使用成績調査の依頼および説明をさせていただきます。

ボトックス治療の流れ

1 治療を開始する前に、患者さんもしくはその代理人に文書による説明および文書による同意の取得

2 投与予定日を決定し登録票に必要事項を記入

3 登録票を弊社へFAX(複写の1部を薬剤部に提出)

4 薬剤部から通常の薬剤と同様に卸店に発注

5 ボトックスの納品

6 ボトックスによる治療

7 残液および器具の失活・廃棄および廃棄の記録

患者さんへの説明および同意の取得

患者さんがボトックスによる治療を希望した場合は、初回の治療を開始する前に、患者さんまたはその代理人の方へ、文書を用いてボトックスの特徴や「使用上の注意」等を十分説明し、十分理解していただいたうえで、文書による同意を取得していただくことが必要です。

弊社は、ボトックスによる眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、および重度の原発性腋窩多汗症の治療に際し、患者さんにご説明するための同意説明文書および同意書の見本を用意しております。本剤の治療開始に先立ち、患者さんまたはその代理人の方に説明および同意を得ていただく際にご活用下さい。

施注日の決定および患者さんの登録

患者さんと相談し治療日を決定したのちに患者さんの登録を行います。
所定の登録票に必要事項を記入します。

患者登録票は2枚複写になっています。記入後、1枚目を弊社(ボトックス窓口)へファックス送信後、主治医が保管して下さい。2枚目は薬剤部にお渡し下さい。
薬剤部から卸店への発注後、納品までに1週間以上を要する場合もございます(地域によって若干異なります)ので、予めご理解いただき、余裕をもって手続きしてくださいますようお願い申し上げます。

患者登録票の送り先:Fax No.0120-198-799

薬剤の発注および納品

薬剤部は通常の薬剤と同様に卸店への発注を行ってください。

その他 注意事項 効果のない原因

ボツリヌス治療を適切に行っても効果が現れない場合があります。最初から効果がないものを一次耐性、最初は有効だったものの次第に効果がなくなったものを二次耐性といいます。

効果のない原因

一次耐性

注射部位の筋弛緩が生じない場合

注射部位の麻痺が確認できない場合には、投与量の不足、低感受性、あるいは抗毒素抗体の存在が考えられます。
投与量が足りない場合には、用量を増やしますが、痙性斜頸の初回投与では使用できる毒素量が少ないので、数多くの筋に分注すると効果が十分に現れず、どの筋でも無効になる可能性があります。
十分な量の毒素を投与しても麻痺が生じない場合、毒素に対する低感受性による相対的な投与量不足が考えられます。
病歴の長い痙性斜頸患者は、頸椎の骨棘に架橋が生じたり、皮下組織が短縮したりして頸部の可動域が減少する例が少なくありません。これらの場合、筋緊張が正常化しても、十分な治療効果が得られない場合があります。

注射部位の筋弛緩が生じない場合

1. 各病態に共通する原因

  • 症状にあっていない投与筋への施注や投与量の不足により、臨床効果が得られない場合があります。
  • 精神的に不安定な場合、ボツリヌス治療の効果が発現しにくい傾向にあります。また、良好な治療効果が得られていても、経過中に心理的な動揺が生じると、急に臨床効果が減弱することがあります。
  • 治療した筋の緊張が低下した後、その協働筋の緊張が新たに亢進して、元の異常姿勢を再現してしまうことがあります。これを「もぐら叩き」現象といいます。毒素の薬理効果が持続していても、臨床効果が相殺されてしまうため、新たに駆動された協働筋にボツリヌス治療を行うことで対抗します。

2. 病態固有の原因

(1) 眼瞼痙攣
眼瞼痙攣では、一次耐性の原因として開眼失行の合併が考えられます。開眼失行でも、多くの場合は有効なのですが、開眼失行の関与が大きいほど効果は劣ると考えられています。
また、病歴が長い高齢者では、眼部の結合組織が弛緩しているため、ボツリヌス治療によって皮膚がたるみ、上眼瞼余剰皮膚の下垂が生じたり、下眼瞼の余剰皮膚のたるみが目立ってくることがあります。

(2) 片側顔面痙攣
片側顔面痙攣では、下部顔面筋で無効例が多くみられます。この筋肉の解剖は複雑で、ボツリヌス治療では攣縮している筋すべてに投与するわけではないため、注射部位が不足しているか、不適切である可能性が考えられます。だからといって、投与量を増やしたり、より多くの筋に注射を行ったりすると、口角の麻痺が生じやすく、高度の麻痺が生じると長期間改善しない可能性があります。下部顔面筋の治療は無理をせず、効果が不十分である可能性をあらかじめ患者に伝えておいたほうがよいでしょう。

(3) 痙性斜頸
痙性斜頸の場合、初回の治療は用量が少ないのでたいていは有効性を判断する材料にはなりえません。十分な量の治療を反復しても効果がない場合に一次耐性と診断します。
投与部位の筋萎縮が生じているにもかかわらず、頭位の改善が認められない場合、その原因として、注射部位の不足あるいは誤りが考えられます。緊張亢進を認める筋が多数ある場合には、優先順位の高い順に投与を行います。
触診だけを頼りに施注すると、目的とする筋に投与できていない可能性があります。針筋電図モニタを行うことで、はじめて効果が得られる場合があります。
用量が中途半端なために筋萎縮だけを生じ、機能的には活動が残っている場合があります。こうした場合、追加投与が必要になりますが、筋萎縮が生じているために次回の治療対象とならない場合があります。したがって、初回治療においては、投与する筋数を少なくし、十分な機能低下が生じるよう十分な用量を設定してください。
視診・触診できない深部筋の緊張が頭位が傾く主な原因である場合も、通常の治療では効果が現れにくいことが多いようです。

一次耐性

初回の治療では有効であったにもかかわらず、途中から治療効果が失われる場合を、二次耐性といいます。二次耐性の最も重要な原因は、抗毒素抗体の誘導です。このほか、眼瞼痙攣では開眼失行の悪化、痙性斜頸では主働筋の深部筋への移行が考えられえます。
また、痙性斜頸では、経過とともに筋緊張亢進する筋が変化することが確認されているため、漫然と治療せず、毎回必ず投与すべき筋を新たに探す必要があります。
患者が低力価の抗体をもっている可能性がある場合には、用量を増やして治療すると効果が得られるという報告があります
[1]

  1.  Mejia NI, Vuong KD, Jankovic J. Long-term botulinum toxin efficacy, safety, and immunogenicity.
    Mov Disord. 2005 May;20(5):592-7.

その他 注意事項 中和抗体

ボツリヌス治療を適切に行っても効果が現れない場合があります。最初から効果がないものを一次耐性、最初は有効だったものの次第に効果がなくなったものを二次耐性といいます。

中和抗体※[1],[2],[3],[4],[5]

長期にわたって多量の毒素を反復投与すると、中和抗体が誘導される可能性があります。低力価であれば効果が減弱して、より多くの用量が必要となり、抗体価が上昇すると効果は完全に失われます。数年間治療を行わずにいると抗体が陰転する場合もありますが、治療再開後はすぐに抗体価が上昇することが多いようです。
眼瞼痙攣・片側顔面痙攣よりも、多量の毒素を反復して使用する痙性斜頸で危険率が高いと考えられています。抗体産生のリスクは、短期間の反復投与、多量使用によって増加するという報告もあり、抗体誘導を回避するには、可能なかぎり治療間隔を開けることが重要だとされています。
[1],[2]

  1. D Dressler and F Adib Saberi
    New formulation of Botox: complete antibody-induced treatment failure in cervical dystonia J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry, Jan 2007; 78: 108 - 109.
  2. Dressler D, Hallett M.
    Immunological aspects of Botox, Dysport and Myobloc/NeuroBloc.
    Eur J Neurol. 2006 Feb;13 Suppl 1:11-5. Review.
  3. Dressler D.
    New formulation of BOTOX. Complete antibody-induced therapy failure in hemifacial spasm.
    J Neurol. 2004 Mar;251(3):360.
  4. Mejia NI, Vuong KD, Jankovic J.
    Long-term botulinum toxin efficacy, safety, and immunogenicity.
    Mov Disord. 2005 May;20(5):592-7.
  5. Jankovic J, Vuong KD, Ahsan J.
    Comparison of efficacy and immunogenicity of original versus current botulinum toxin in cervical dystonia.
    Neurology. 2003 Apr 8;60(7):1186-8

 

 

  • ボトックスは製剤が改良され、米国で1997年からの発売時(旧製剤)よりも現行製剤は比活性の高い毒素が使用されている。
  • これにより、同一単位数あたりの負荷蛋白量が古い製剤の約5分の1となり、抗体産生の可能性は格段に低くなっている。

患者さんへの説明ポイント

ボトックスの保険適用疾患は、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、および重度の原発性腋窩多汗症です。他の疾患の治療には一切使用することができません。「ボトックス注用100単位」1バイアルの薬価は87,536円(2015年1月現在)、「ボトックス注用50単位」1バイアルの薬価は49,231円(2015年1月現在)です。治療費が比較的高額になることのご説明は必須です。

医療費は、自己負担が高額になると患者さんの負担が過大になるため、一定の金額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。また、加入されている健康保険の種類によって負担金額が異なります。医療費については患者さん個人の諸条件(保険・年齢・生活保護等)が関係しますので、病院ケースワーカー、または医療相談室にご相談ください。

ボトックスとは?ボツリヌス療法とは?

ボトックスは、A型ボツリヌス毒素を有効成分とする骨格筋弛緩剤です。本剤は、末梢の神経筋接合部における神経筋伝達を阻害することにより筋弛緩作用を示し、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足における筋の攣縮および緊張を改善します。また、交感神経と汗腺の間の情報伝達を阻害することにより原発性腋窩多汗症の症状を改善します。
ボトックスの有効成分であるA型ボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌Clostridium botulinumによって生産される7種類の毒素(A~G型)のなかで、最も比活性(重量あたりの毒性)が強いとされています。

通常のボツリヌス中毒は、菌感染によるものではなく、食品中で産生された毒素の摂取によって生じます。中毒症状には、消化器症状、視力障害、散瞳、眼瞼下垂、全身運動麻痺、自律神経障害などがあります。この麻痺は神経筋接合部のシナプス前終末からのアセチルコリン放出が阻害されることにより生じます。この強力な神経筋伝達阻害作用を有する毒素のごく少量を、異常な緊張亢進を示す筋に直接注射することにより、攣縮が軽減されることから、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣および痙性斜頸などの治療への応用が行われるようになりました。

A型ボツリヌス毒素のヒトに対する致死量は確立していませんが、筋肉内注射した場合には、数千単位と考えられています。[1]

  1. Arnon SS, et al, Botulinum toxin as a biological weapon. Medical and public health management. JAMA 2001; 285: 1059-1070

効果の発現時期

効果は通常、施注後2~3日で現れ、1~2週間程度で安定します。治療当日には発現しません。
効果の発現時期には個人差が大きく、施注直後から、効果が発現する患者さんがいますが、多くはプラセボ効果と判断されています。しかし、注射による感覚トリックとして作用しているとも考えられます。

効果の持続期間

個人差がありますが、上肢痙縮、下肢痙縮、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足の場合、効果は通常3~4ヵ月持続します。原発性腋窩多汗症の場合は4~9ヵ月持続します。
ボトックスによる治療は対症療法であり、神経伝達阻害作用は時間経過とともに回復します。したがって、症状が再発した場合には、再投与が必要となります。

副作用

同意説明文書に記載されている主な副作用、その発生率や予測される症状については、特に重点的に説明してください。顔面に注射する場合は、注射手技に伴う出血、血腫形成の可能性についても、必要に応じて説明してください。副作用の対処方法、医師への連絡についてもご説明ください。

反復投与

ボトックスによる治療は対症療法であり、神経伝達阻害作用は時間経過とともに回復します。したがって、症状が再発した場合には、再投与が必要となります。

効果について

  • 眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、上肢痙縮、下肢痙縮、小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足の場合
    これらの疾患では、通常、ボトックスの効果は3~4ヵ月間持続します。そのため、効果が減弱した場合、再治療が必要となります。
    [1]
  • 痙性斜頸の場合
    痙性斜頸では初回用量が30~60単位と設定されており、1回の治療で十分な効果が得られることはあまりありません。
    そのため、通常、十分な用量による反復治療が必要とされています。頭位の改善が見られた後、効果が減弱した場合、再治療を行います。長期間にわたり反復治療が可能ですが、一部に効果が減弱する例があります。
    [1]
  • 重度の原発性腋窩多汗症の場合
    ボトックスの効果は4~9ヵ月持続します。そのため、効果が減弱した場合、再治療が必要となります。
  1. Jankovic J, Schwarts KS. Clinical correlates of response to botulinum toxin injections. Arch Neurol 1991; 48: 1253-1256

寛解誘導

ボトックスによる治療は、基本的に対症療法なのですが、治療により寛解が誘導されたと考えられる例が報告されています。[2],[3],[4]
これは、異常感覚入力と異常筋収縮との悪循環など、感覚運動連関の異常を遮断することで、正常な運動プログラムが再構築(もしくは再稼動)されるとも考えられています。[1]

  1. Kostic VS, Stojanovic M, Sternic N. Long-term effects of botulinum toxin in focal dystonias after discontinuation of the therapy. Mov Disord 1995; 10: 373
  2. Slawek J, Nojszewska M, Friedman A, Cielecka A, Duzyn'ski W, Bogucki A, Krygowska-Wajs A. Long-lasting remissions after botulinum toxin A injections in patients with idiopathic spasmodic torticollis. Eur J Neurol 2000; 7(suppl 3): 79
  3. Slawek J, Cielecka A, Duzyn'ski W. Prognostic factors of long-standing improvement in cervical dystonia, treated with botulinum A toxin. Neurol Neurochir Pol 2002;36:47-56
  4. Giladi N, Meer J, Kidan H, Honigman S. Long-term remission of idiopathic cervical dystonia after treatment with botulinum toxin . Eur Neurol 2000;44:144-146

治療の限界

きわめて少量の毒素で強い麻痺を起こす例、逆に通常の使用量では効果がなく、大量投与を要する例など、ボトックスの有効成分であるA型ボツリヌス毒素の感受性には個人差があります。また、関与する筋が多い場合など、患者さんに対しては、許容される用量では効果が不十分なこともあります。
反復治療の結果、ボツリヌス毒素抗体が産生されると治療効果が減弱します。痙性斜頸の治療では比較的高用量のボツリヌス毒素を用いますので、眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の場合よりも、抗体産生リスクが高いとされています。[2]
そのため、必要最小限の用量でできるだけ治療期間をあけて治療することが望ましいとされています[1],[3]

・眼瞼痙攣の場合
外見上は眼輪筋の収縮がないのに開瞼できない状態が観察される場合には、開眼失行と眼瞼痙攣の合併が考えられます。この場合も大半の例で有効ですが、有効率は純粋な眼瞼痙攣より若干低くなります。そのため、「効果を得られない可能性がある」「効果が不十分な可能性がある」ことなどを説明していくことが望ましいと考えられます。
[1]

・片側顔面痙攣の場合
片側顔面痙攣の患者さんの場合、運動単位数が減少していることが多いため、効果が過剰に出ることが多いようです。
[4]
とりわけ麻痺を合併している顔面痙攣では、初期用量を少なめに設定する必要があります。[1]

・痙性斜頸の場合
長期間の頭位偏倚により、骨格変形が起こって筋が短縮した例では、ボトックスを投与しても効果不十分で正常頭位を取れない場合があります。
また、治療後も心因性ジストニアによる偏倚が残る例や運動領域に制限が残る例、長期間の頭位の偏倚により、患者さんが正常頭位を忘れていたり、異常頭位を正常頭位と誤認している場合なども頭位の正常化は難しいとされています。
[1]

  1. Hatheway CL, Dang C. Immunogenicity of the neurotoxins of Clostridium botulinum. In: Jakovic J, Hallett M, eds., Therapy with BotulinumToxin, Marcel Dekker, New York, pp93-107, 1994
  2. Greene P, Fahn S, Diamond B. Development of resistance to botulinum toxin type A in patients with torticollis. Mov Disord 1994; 9: 213-217
  3. Comella CL, Pullman Sl. Botulinum toxin in neurological disease. Muscle Nerve 2004; 29: 628-644
  4. Kloss TM. Two year follow up in 65 patients with dystonia and hemifacial spasm treated with botulinum toxin. Mov Disord 1995;10: 383

治療の限界

添付文書に記載のある併用注意の薬剤においては、併用に注意してください。
その他の薬剤については、通常併用薬を変更する必要はありません。ただし、抗血小板薬または抗凝固薬を併用しながら、施注する場合には、注射後の止血は念入りに行う必要があります。特に、抗凝固薬によりPT-INRが非常に高値の場合は、一時的に減量、あるいは休止を考慮することが必要です。
また、明らかに出血傾向にある場合には、治療は行うべきでないとされています。
[1],[2]

併用注意(併用に注意すること)

  1. 目崎高広, 梶 龍兒. ジストニアとボツリヌス治療 改訂第2版, 診断と治療社, p17, 2005
  2. Jankovic J, Schwarts KS. Clinical correlates of response to botulinum toxin injections. Arch Neurol 1991; 48: 1253-1256

安全性

眼瞼痙攣を対象とした使用成績調査6445症例中、652例(10.12%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。その主なものは、眼瞼下垂141例(2.19%)、兎眼・閉瞼不全138例(2.14%)、流涙67例(1.04%)でした(再審査終了時)。
片側顔面痙攣を対象とした使用成績調査10288症例中、725例(7.05%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。その主なものは、兎眼・閉瞼不全195例(1.90%)、局所性筋力低下、顔面麻痺各158例(1. 54%)、流涙80例(0. 78%)でした(再審査終了時)。
痙性斜頸を対象とした使用成績調査10645症例中、508例(4.77%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。その主なものは、嚥下障害208例(1.95%)、局所性筋力低下89例(0.84%)、脱力(感)31例(0.29%)でした(再審査申請時)。なお、痙性斜頸の国内臨床試験において本剤との因果関係が完全には否定しきれない突然死が1例報告されています。
脳卒中後の上肢痙縮患者を対象とした国内臨床試験において、総症例106例中17例(16.04%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。その主なものは、脱力(感)3例(2.83%)、CK(CPK)上昇3例(2.83%)でした(承認時)。脳卒中後の下肢痙縮患者を対象とした国内臨床試験において、総症例115例中18例(15.65%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。その主なものは、注射部疼痛5例(4.35%)、筋痛3例(2.61%)、発疹2例(1. 74%)でした(承認時)。
2歳以上の尖足を有する小児脳性麻痺患者における下肢痙縮を対象とした海外臨床試験215例中、副作用発現率は67例(31%)でした。その主なものは転倒20例(9%)、下肢の疼痛5例(2%)、下肢の脱力5例(2%)、全身の脱力4例(2%)でした(承認時)。
原発性腋窩多汗症患者を対象とした国内臨床試験において、総症例144例中3例(2.08%)に副作用が報告されました。その内訳は発汗3例(2.08%)、四肢痛1例(0.69%)でした(承認時)。
また重大な副作用として、①ショック、アナフィラキシー様症状、血清病(0.01%未満)、②眼(0.38%):重篤な角膜露出、持続性上皮欠損、角膜潰瘍、角膜穿孔、③嚥下障害(0.75%)、呼吸障害(0. 03%)、④痙攣発作(頻度不明)が報告されています。

製品名はすべて、グラクソ・スミスクライン、そのライセンサー、提携パートナーの登録商標です。
製剤写真及びPDF資料は、患者指導の目的に限りダウンロード頂けます。